2003年5月5日 ブレーキホース交換+左ブレーキの前後連動解除

昨年から時々左ブレーキがベーパーロックを起こします。つまり左レバーを握ってもブレーキが全く効きません。コーススラロームのときはすぐに休めますが、峠の下りでベーパーロックすると超怖い思いをします。おっ、エアーを咬んだかなと気付いてから次の次のコーナーでは全くブレーキが効かなくなります。
一度ブレーキが気になり出すと、レバーを握った時のふにゃふにゃ感も気になりだしました。もともと好きじゃない前後連動のコンビブレーキもますます気になります。カウルを開けてみると、前後連動の分配器のゴムブーツが破れてブレーキフルードが滲み出しているし、おまけにリアブレーキの配管が排気パイプのすぐ傍を通っているしと、けっこういい加減です。気に入りません。
そこでブレーキホースを交換して配管のとり回しを変更し、ついでに前後連動も解除することにしました。でも良い子はまねしないでくださいね。
まずハンドルカバーを外すとマスターシリンダーが姿を現します。これは右側ですね。青の線がオリジナルのゴムホースです。
アブレーキの配管とキャリパーです。配管の途中は金属パイプで中継されています。
上の写真の拡大です。金属のブレーキ配管がナント灼熱の排気パイプのすぐそばを走っています。

わが目を疑いました。こんなことでいいんでしょうか?わざと暖めているんでしょうか?信じられません。ブレーキフルードって加熱されると沸騰するんですよね。ベーパーロックに一役かっているように思えます。

ということで、これが交換用に購入したものです。フロント用にステンレスメッシュホースx3本、T字中継アダプタx1個、バンジョーx3個、バンジョーボルトx3本、リア用に特注の長いステンレスメッシュホースx1本、バンジョーx2個、バンジョーボルトx2本、そして銅ワッシャーです。

ブレンボのマスターシリンダとキャリパーなので、バンジョーボルトは1.00ミリピッチのものを選びました。

交換作業のはじめはブレーキフルードの抜き取りです。
キャリパー側のバンジョーボルトを緩めてブレーキホースを外すとブレーキフルードが出てくるのでガラスビンで受けました。でも外れです。一歩前へ -- です。
右側つまりフロント用のマスターシリンダーに新しいステンレスメッシュホースを取り付けました。

トルクレンチを持っていないのでレンチを短めに握って思い切り締め付けました。ステンレス製のバンジョーとバンジョーボルトにして良かったです。アルミ製だったらねじ切れているでしょう。

フロントダブルディスクなのでT型アダプタで分岐しました。

ダブル用のバンジョーボルトを使うと長すぎてハンドルカバーに収まらないのがT型アダプタで分岐した理由です。

ホースを止めるところとアンダーブラケットに触るところはゴムチューブで保護します。フロントフォークが延びきった状態でもホースに余裕があるようにとり回します。
フロント左側のキャリパーとホースです。これも思い切り締め付けました。
フロント右側のキャリパーとホースです。
左側のマスターシリンダとホースです。
ホースが電線やフレームに触るところはゴムチューブで保護しています。
青い線が旧配管。黄色い線が新しいホースです。新しいホースは灼熱の排気パイプから離してとり回しました。
リアキャリパーとホースです。
[エア抜き作業]
この後にエア抜き作業を行いました。あまりにも骨が折れて写真を撮る余裕がありませんでした。またまた妻に手伝ってもらいました。妻がレバーをニギニギし、私がブリーダを操作しました。永遠に気泡が出続けるかと思いました。
[試乗記]
前後連動を解除した感想は「ああ、バイクのブレーキってこういう感じだったなあ」という懐かしさとリアブレーキの効きの悪さです。いままで左レバーを握ったときに前ブレーキがかなり効いていたことが良くわかりました。前後分離がいいかどうか、ベーパーロックの具合は、もうちょっと走ってみないとわかりません。
[試乗記(2)2003.5.6]
リアブレーキが気になって、昨夜もう一度走ってみました。よく観察すると、効かないというより、左レバーのストロークがほとんど無いというほうが正確です。カチカチって感じです。四本指で握ればロックしますが、二本指だとレバーが遠すぎてちょっと辛い感じです。右レバーのフィーリングと効きがとても良いので左がますます気になります。今日は気になって一日仕事が手につきませんでした。考えてみるに、いままで左ブレーキのマスターシリンダからは前左のキャリパーと後ろのキャリパーにフルードを送り込んでいたのに、後ろだけになったのとステンレスメッシュホースにしたのとの相乗効果でストロークが小さくなったんじゃないでしょうか。
[考察2003.5.7]
つまり、油圧レシオとかのバランスが崩れちゃったんですよね。考えてみればあたりまえですけど、左マスターシリンダで前左と後キャリパーを押して右マスターシリンダで前右キャリパーだけ押してたのが、左マスターシリンダで後ろキャリパーだけ右マスターシリンダで前左右キャリパーを押すようになったんですからバランスが崩れるのは当然ですよね。本当は左右のマスターシリンダを最適なもの、つまり右のマスターシリンダを径の大きなものに、左の径を小さなものに交換すればいいんでしょうけど、右はともかく左ブレーキ用のマスターシリンダなんて売ってるんでしょうか?困りました。

2003年5月10日 リアブレーキレバーのかちんかちん対策

というわけで諸先輩のアドバイスもいただき、左ブレーキ用のマスクーシリンダを探しにパーツ店に行ってみました。しかしお店にある左用はクラッチマスターで、ブレーキマスターは置いてありません。ブレンボの12ミリのOEMタンク別体型クラッチマスターがあって、お店のお兄さんが「マジェの人はよくこれ使ってますよー」と言ったので心が動きました。しかし先輩の「クラッチマスターをブレーキに使うにはやめた方がいいよ」というアドバイスを思い出してやめました。
家に帰って妻にブレーキの仕組みについて説明しました。妻からお小遣いを渡される身としては説明しなくてはなりません。それで「左マスターシリンダで前左と後キャリパーを押してたのが、連動解除で後ろキャリパーだけを押すようになったんで左ブレーキのマスターシリンダが容量オーバーになって、ちょっとのストロークで済むようになったんでブレーキレバーがかちんかちんな感じになっちゃったんだよね」と図を書きながら説明すると「それじゃキャリパーとやらをもう一個付ければいいじゃん」と言われました。驚きです。このアイデアは昨夜の先輩のアイデアと同じです。それに私も一昨日の深夜に布団のなかで思いついたアイデアでもあります。なんと三人から同じアイデアが出たのです。しかしこんなことを思いつく妻も、それを実行する私も常軌を逸しているように思います。良い子はくれぐれも真似しないでください。
これが買ってきたキャリパーです。X9の前左右と後ろに使っているのと同じタイプです。通称カニというらしいです。カニ目ともいうらしいですがオースチンのカニ目を連想してしまいます。こいつをダミーの形でリアブレーキに追加すれば、左マスターシリンダが押すフルードの量は、連動のときとほぼ同じになるはずです。カニはブレンボ製のキャリパーで、DUCATIについているのと同じやつらしいです。そういえば以前に外人さんが「ジュキャーリ」というのを聞いて何のことかわかりませんでした。書いてもらうとDUCATIでした。奥が深いです。関係ないか。
リアキャリパーで中継します。中継用のダブルのバンジョーボルトのねじ部が長すぎてキャリパーに納まらないのでヤスリで数ミリ削って使いました。二本のホースがぶつかるところはゴムを巻いて保護してみました。

黒っぽいホースは左マスターシリンダからのものです。白っぽいホースはダミーキャリパーへ行くものですが、間違えてシルバーのものを買ってしまいました。これではカスタムがわかってしまいます。「見た目はあくまでノーマル」がコンセプトですから、こんどスモークのホースに交換しなくてはいけません

とりあえずシート下にダミー用キャリパーを置きました。なにか悲しげに見えるのは気のせいでしょうか。
ヤスリを探して工作机の引き出しをかき回していたら、なんとエア抜き用の太い注射器が出てきました。信じられません。いつ買ったんだろう。十年以上前のものであることは間違いありません。実は、けさキャリパーと一緒に注射器を買おうとしたら売り切れだったんです。ラッキーです。

これがあると便利です。とりあえず、これでちゅーちゅー吸うと簡単にホース内にブレーキフルードを満たすことができます。写真のキャリパーは上の写真でシート下にあったダミー用のキャリパーです。

またまた妻に手伝ってもらってエア抜きした後、再びキャリパーをシート下に置きました。注射器のおかげでエア抜きはとても楽でした。
ダミー用キャリパーにはディスクがありませんので、代わりにちびたパッドを挟みました。キャリパーもパッドを三枚も入れられるとは思わなかったでしょう。ちょっと可哀想です。

この後、試験走行がてら、キャリパーをちゃんと固定するための金具の加工を頼みに東急ハンズに行ってきました。

[試乗記(3)2003.5.10]
すばらしいです。適度なレバーのふにゃふにゃ感です。左右の感触のバランスも程良い感じです。アドバイスをくださった皆さん、どうもありがとうございました。
シート下にダミー用キャリパーを金具で取り付けました。

2003年5月18日 ブレーキホース一部再交換+ブレーキフルードの種類変更

前回ブレーキホースを交換したときに気に入らなかった部分の修正と、ブレーキフルードの種類を変更してみました。
ここは前回の作業で気に入らなかったところです。ダミー用のキャリパーへ行くステンレスメッシュホースに、シルバーのものを間違えて買ってしまったからです。「見た目はあくまでノーマル」がコンセプトなのに、これではカスタムがわかってしまいます。
そこでスモークのステンレスメッシュホースを買い直しました。このほうが目立たないでしょう。カスタムはお金がかかります。
以前にブレーキがベーパーロックを起こしたときから、ブレーキフルードにカストロールのDOT5.1を使っていました。今回これをヤマハのDOT4に変更してみました。レバータッチが変わるんじゃないかという好奇心からと、リアブレーキの配管を灼熱の排気パイプから離してとりまわしたので、もうDOT5.1でなくてもいいんじゃないかと思ったからです。右はカストロールのDOT5.1、左はヤマハのDOT4です。カストロールのDOT5.1は無色透明でサラサラしています。ヤマハのDOT4は黄色味を帯びて少しドロッとしています。
フルード交換とエア抜き作業です。初めてやったときは、あたり一面フルードをこぼしてベトベトでしたが、慣れてきた今は一滴もこぼさずにできるようになりました。

エア抜作業も、以前はやればやるほどレバータッチがふにゃふにゃになりましたが、いまはちゃんとかたくなってきます。

なんとレバータッチがずいぶん変わりました。カストロールのDOT5.1の方がストレートな感じっていうか、素直っていうかそんな感じがしました。柔らかめの右レバーを握るとスッとレバーが入っていき、ややかための左レバーはちょっとカチッという感じでした。ヤマハのDOT4にすると、もさっとしたというか、ねばっとした感じになりました。右レバーと左レバーの感じの差がわかりにくくなりました。

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